こんにちは!COREトレSTUDIOの久志本です。
今回は海外の論文から、運動前の炭水化物+タンパク質の摂取が持久系運動のパフォーマンスとその後の疲労回復にどう影響するかについての結果と、僕なりの考察を書いていきたいと思います。
まず結論からいうと、
「運動前日から炭水化物+プロテインを多めに摂取すると、翌日の持久力系運動のパフォーマンスと疲労回復が早くなる可能性」があります。
それでは本題に入ります。
持久力系パフォーマンスを上げるために、運動前に炭水化物を摂取することが重要ということはよく知られているかと思います。ですが持久力系運動における、タンパク質の摂取の重要性についてはあまり語られていないように思えます。
筋トレのようなパワー系の運動をする前には、タンパク質の合成を促しつつ筋肉の分解を抑えるために糖質+タンパク質の摂取を行ったほうが良い、ということは基本的な考え方ですが、持久系運動のパフォーマンスアップのために糖質とタンパク質を摂取することがパフォーマンスアップにつながるかどうかは、よくわかっていませんでした。
しかし、ある海外の研究によると、運動前の炭水化物+タンパク質摂取が運動後の疲労回復を促し、翌日のパフォーマンスをアップさせる可能性が示唆されています。
この研究では、運動2時間前に
①炭水化物のみの摂取
②炭水化物+ホエイプロテイン
③炭水化物+ソイプロテイン
を摂取する3つのグループに分け、2日連続で同じ条件のもとエアロバイクを使った持久力のテストを行い、完遂できた総仕事量(疲労困憊になるまでにどれくらい運動を行えたか)や運動後の血液中の疲労物質、酸化物質の量を計測しました。
結果、摂取した日の運動のパフォーマンスは③つのグループすべてでほとんど変わらなかったが、その後の疲労回復は炭水化物+プロテインのグループのみ上昇しました(炭水化物のみと比較して2日目のパフォーマンスがアップした)。
細かくみると、 ②炭水化物+ホエイプロテインの方が ③炭水化物+ソイプロテインよりもその度合いが高かったようです。しかし、この実験でソイプロテインはホエイプロテインの約1/2の量のみ使用されていたことから、同じ量を摂った場合、ソイプロテインでもホエイプロテインと同等の効果を発揮する可能性があります。
この実験では運動を2日連続(両方とも運動2時間前に栄養摂取)で行った場合の栄養摂取によるパフォーマンスの変化を観測しているので、例えば大事な試合の前日、さほど疲労していない状態での炭水化物+炭水化物の摂取が翌日のパフォーマンスを上げるかはわかりませんが、少なくとも疲労している状態であればこのパターンの栄養摂取が翌日のパフォーマンスアップ(疲労によるパフォーマンスダウンを抑える)に貢献する可能性はありそうです。
ただ個人的には、運動後の疲労回復効果だけでも見込めるのであれば、炭水化物+たんぱく質を試合前日と試合2時間前に摂取するべきだと思います。
また、疲労回復だけでなくパフォーマンスが上がる可能性もありますので、試す価値は大いにあると思います。
運動後の疲労回復を促す効果のある栄養素やサプリメントはたくさんありますが、その多くは運動後の疲労回復だけでなく運動中のパフォーマンスアップ効果も期待できるものばかりです。
ただし、栄養はバランスが重要です。
確かに炭水化物とタンパク質はエネルギー源としてや筋肉を作ったり細胞を作るために必須ですが、その他の栄養素(脂質、ビタミン、ミネラルなど)が十分摂取できている状態で、初めて効率よく働いてくれます。
なので、安全なのは日ごろからできるだけ多くの品目を食べ、自然と栄養バランスが整うようにし、その上で運動前後は特に炭水化物とタンパク質を多めに摂取するようにする、ということだと思います
前回の記事でパフォーマンスピラミッドのお話をしましたが、栄養素もどれか少数の大事な栄養だけを摂ればよいわけではなく、多くが補完関係にあるのでバランスが重要という点で少し似ている気がします。
何事もバランスが重要!
では!
今回ご紹介した論文はこちら↓
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2021.765473/full